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はじめに
感染関連糸球体腎炎(infection-related glomerulonephritis:IRGN)は,腎症発症時に感染が終息している感染後糸球体腎炎(postinfectious glomerulonephritis:PIGN)と,感染が持続している感染関連糸球体腎炎(狭義のIRGN)に大別される。PIGNの代表疾患が溶連菌感染後急性糸球体腎炎(poststreptococcal acute glomerulonephritis:PSAGN)であり,IRGN(狭義)の代表疾患が免疫グロブリンA(immunoglobulin A:IgA)沈着優位性IRGN(IgA-IRGN)である。IgA-IRGNは原因の多くがブドウ球菌感染症である。1995年にKoyamaら1)はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)の持続感染中にネフローゼレベルの蛋白尿を呈し,糸球体にIgG,IgAおよびC3の沈着を認める新たな糸球体腎炎を6症例報告した。2003年にはNasrら2)が黄色ブドウ球菌感染に関連した糸球体腎炎を5症例報告した。5症例とも基礎疾患に2型糖尿病を有し,腎病理学的検討では蛍光抗体法でメサンギウム領域にIgA優位の沈着を認めた。その後同様の所見を呈する症例の知見が蓄積され,今日ではこれらの特徴を有する糸球体腎炎はIgA-IRGNの概念に包括されている。本稿ではIgA-IRGNの1症例を提示し,IgA-IRGNと広義のIRGNを対比しつつ,IgA-IRGNの疫学,発症機序,病理所見ならびに治療法に関して解説する。
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