Japanese
English
特集 腎不全合併症に関する最近の進歩
腎移植 移植後感染症
Infectious diseases after kidney transplantation
升谷 耕介
1
MASUTANI Kosuke
1
1福岡大学医学部腎臓・膠原病内科学
キーワード:
移植腎生検
,
ウイルス感染症
,
尿細胞診
,
尿路感染症
,
免疫抑制薬
Keyword:
移植腎生検
,
ウイルス感染症
,
尿細胞診
,
尿路感染症
,
免疫抑制薬
pp.688-693
発行日 2024年5月25日
Published Date 2024/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001327
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はじめに
腎移植の成績は良好で,今や15年から20年の生存生着を目指す時代である。治療成績の向上に貢献したのは,いうまでもなく免疫抑制療法の進歩である。逆に,腎移植患者は原則として永続的に免疫抑制薬の内服が必要であり,すべての時期において感染症のリスクを負っている。わが国の腎移植患者の死亡原因をみると,2001~2009年では感染症が17.3%で1位,2010~2020年では悪性腫瘍が16.6%で1位であるが,感染症も13.2%で2位であり1),感染症対策はこの領域における重要課題の1つである。近年,ほとんどの腎移植症例でバシリキシマブとカルシニューリン阻害薬(calcineurin inhibitor:CNI)が使用され,免疫抑制療法はよりT細胞特異的となっているため,重篤な細菌感染症は減少した。しかし,腎移植の適応拡大に伴い高齢レシピエントが増加し,思わぬ細菌感染症に遭遇することがある。また,ウイルス感染症のリスクは依然として高く,腎移植医療に従事する者はその特殊性を知っておくべきである。本稿では,腎移植患者における主要な感染症を,細菌感染症とウイルス感染症に分けて概説する。
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