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特集 腎不全合併症に関する最近の進歩
慢性腎不全 透析患者の手根管症候群
Carpal tunnel syndrome in haemodialysis patients
吉田 綾
1,2
,
奥津 一郎
2
YOSHIDA Aya
1,2
,
OKUTSU Ichiro
2
1取手北相馬保健医療センター医師会病院 整形外科
2おくつ整形外科クリニック
キーワード:
carpal tunnel syndrome
,
amyloidosis
,
SLACS
Keyword:
carpal tunnel syndrome
,
amyloidosis
,
SLACS
pp.615-619
発行日 2024年5月25日
Published Date 2024/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001312
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Ⅰ 透析患者の手根管症候群の疫学
維持血液透析患者の手根管症候群(carpal tunnel syndrome:CTS)は,透析膜で除去されにくいβ2ミクログロブリン(β2 microglobulin:β2m)由来の透析アミロイドーシスの一分症である1)。新規CTSの発症は,透析歴が5年増すごとに約2倍増加するとされ2),わが国の慢性透析療法の現況(2017年12月31日現在)によると,透析歴が長期になるほど手根管開放術既往ありの割合は増加し,透析歴40年以上では男性62%,女性68%に手根管開放術の既往があり,手術時の平均透析歴は男性22年,女性24年であった3)。一方,2010年コホートにおける1年後の新規CTS発生率は,1998年の1.8%から1.3%と有意に減少しており,透析歴5年ごとのCTS粗発生率からみると,2010年では1998年に比べて約5年間発症が遅くなっていた4)。つまり,透析技術の進歩によりCTS新規発症が減少していることが明らかとなっている。
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