Japanese
English
鏡視下手術の進歩――小関節から脊椎まで Ⅳ.手部・手関節
手根管症候群に対する安全な鏡視下手術
-――手根管外鏡視手根管開放術
Safe endoscopic procedure for carpal tunnel syndrome;supraretinacular endoscopic carpal tunnel release
佐藤 光太朗
1
,
村上 賢也
1
,
水野 康一郎
1
,
及川 亮
1
,
松浦 真典
1
,
土井田 稔
1
K. Sato
1
,
K. Murakami
1
,
K. Mizuno
1
,
R. Oikawa
1
,
M. Matsuura
1
,
M. Doita
1
1岩手医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., School of Medicine, Iwate Medical University, Iwate
キーワード:
carpal tunnel syndrome
,
supraretinacular endoscopic carpal tunnel release
,
endoscopic carpal tunnel release
Keyword:
carpal tunnel syndrome
,
supraretinacular endoscopic carpal tunnel release
,
endoscopic carpal tunnel release
pp.141-144
発行日 2020年4月20日
Published Date 2020/4/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei77_141
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は じ め に
手根管外鏡視手根管開放術(supraretinacular endoscopic carpal tunnel release:SRECTR)は,屈筋支帯上に皮下トンネルを作製して鏡視する方法で,直視下手術と同様に屈筋支帯と正中神経が下方視できるため違和感が少ない.本法は手根管内にカメラを挿入しないため神経に愛護的であり,支帯の切り残し,神経損傷,腱損傷といった合併症がきわめて低い.
一般的に行われる鏡視下手根管開放術(ECTR)は手根管内にカメラを挿入し屈筋支帯を上方に見上げながら行う手術で,直視下法とは視野が異なる.また,手根管内圧が上昇して神経損傷を起こす懸念や予期せぬ腱損傷が発生している場合がある1,2).
われわれはSRECTRを手首皮線上横皮切の1ポータル法で行っている.当科でSRECTRを行った特発性手根管症候群160例176手[男性52手,女性124手,平均年齢64.2(40~89)歳,病期は浜田分類でgrade 1が114手,grade 2が51手,grade 3が11手]を対象として検討を行った3).検討項目は直視下法への転換の有無,支帯の切り残し,神経損傷,血管損傷,腱損傷など合併症の有無,ターニケットによる駆血時間とした.術後の評価は,3ヵ月以上観察が可能であった149手を対象にKellyの評価法を用いて行った4).また手根管症候群の術後には屈筋支帯切離部の疼痛(pillar pain)が発生することが知られている.本法施行後の16例17(男性7,女性10)手で術後4週でのpillar painの有無を圧痛計で2.5kgの圧痛を加え評価した.
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