慢性腎不全患者における手根管症候群とばね指のDay Surgery

Day Surgery of Carpal Tunnel Syndrome and Trigger Finger (Thumb) in Patient with Chronic Renal Failure

　糖尿病性腎症に由来する透析患者は毎年増加しており，これに関連する手外科領域の代表的疾患として手根管症候群やばね指がある．透析患者の手根管症候群の特徴として，透析時の強い痛みの他に長期透析でアミロイド蛋白の沈着による屈筋腱腱鞘滑膜炎を伴い手指の著明な可動制限を来す例がある．その場合，単純な手根管開放術では改善せず，滑膜切除術の追加や症例によっては肥厚した屈筋腱に対して腱縮小術や浅指屈筋腱抜去術を行う．

　一方，ばね指はトリガリングや痛みが改善すれば患者満足度は高いため，通常の直視下腱鞘切開術の他に，外来処置室で可能な18G針を用いた経皮的腱鞘切開術も簡便で有用な方法である．長期透析例で腱の肥厚に伴い著しく手指の可動性が悪い場合には，先に述べた浅指屈筋腱抜去術を要する例もある．