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特集 実況! 私の診察室
手根管症候群の診療の実際
Clinical Features and Treatment for Carpal Tunnel Syndrome
信田 進吾
1
,
奥野 洋史
1
,
品川 清嗣
1
Shingo NOBUTA
1
,
Hiroshi OKUNO
1
,
Kiyotsugu SHINAGAWA
1
1東北労災病院整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Tohoku Rosai Hospital
キーワード:
手根管症候群
,
carpal tunnel syndrome
,
保存療法
,
conservative treatment
,
手術療法
,
surgical treatment
Keyword:
手根管症候群
,
carpal tunnel syndrome
,
保存療法
,
conservative treatment
,
手術療法
,
surgical treatment
pp.241-247
発行日 2022年8月31日
Published Date 2022/8/31
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201832
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はじめに
手根管症候群(carpal tunnel syndrome:CTS)は日常診療上最も多くみられる絞扼性神経障害である.手根骨と屈筋支帯(横手根靭帯と掌側手根靭帯)で構成される手根管内を屈筋腱群,滑膜性腱鞘とともに通過する正中神経が,手根管内圧の上昇をはじめさまざまな原因により圧迫,障害されて発症する.中・高年女性に多くみられ,両側発症例も多い.罹患率は人口の2.7〜3.1%とされる5,35).特発性では慢性非特異的滑膜炎によるものが多く,過度の手作業,さまざまな内分泌環境(糖尿病,人工透析,妊娠,関節リウマチ,アミロイドーシス,甲状腺疾患など)が原因となる.症候性は橈骨遠位端骨折,手根骨骨折,骨壊死20),腫瘍に合併するものがある.手のしびれ,知覚障害,疼痛,脱力感,巧緻性障害を主訴とするが,これらはさまざまな疾患の初発症状として出現することも多く,CTSを正確に診断することは容易ではない5).本稿においては,CTSの問診・診察での注目点,検査の選択,最終診断の鍵となる所見,鑑別診断と治療の実際について述べる.
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