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はじめに
高血圧は脳心血管病(cardiovascular disease:CVD)による死亡と密接な関係があり,その管理が重要であることは明らかである。また,血圧が高いほど末期腎不全(end-stage kidney disease:ESKD)発症リスクが高まることが報告されている1)。さらに,CKD患者では同じ血圧でも非CKD患者と比較して脳心血管病の発症リスクが高いことが知られている2)。このCKDにおけるCVD発症リスクは,高血圧と腎機能が独立して関連していることも証明されている3)。一方で,さまざまなランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)やそれらを用いたメタ解析では,血圧を適切に管理することによって,CVD発症の予防と糸球体濾過量(GFR)の低下速度の改善ができることが示されている4)。つまり,CKD患者における適切な降圧治療は,患者のCVD予後・生命予後を改善させ,その結果として患者の生活の質(quality of life:QOL)をも改善させることができるということである。さらにいえば,ESKDによる透析導入を減らすことにも大きく寄与できる可能性があり,われわれはCKD患者の血圧管理について精通する必要がある。一方で,透析患者に対する降圧治療は血圧の評価から降圧目標までしっかりとしたエビデンスが少なく,その管理に関するガイドラインの記載も一定していない。疫学データからもその評価が難しく,現時点での推奨もエビデンスレベルが低い。本稿では,CKD患者の降圧目標や降圧治療について,保存期(非糖尿病(diabetes mellitus:DM))CKDと透析期(CKD G5D)患者について現時点での最適治療について考えてみたい。
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