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特集 病因・病態生理から読み解く腎・泌尿器疾患のすべて
Ⅳ.全身性疾患に伴う腎障害
1.糖尿病性腎臓病
Diabetic kidney disease
田中 哲洋
1
Tanaka Tetsuhiro
1
1東北大学大学院医学系研究科腎・膠原病・内分泌内科学分野
キーワード:
糖尿病性腎臓病
,
糖尿病性腎症
,
アルブミン尿
Keyword:
糖尿病性腎臓病
,
糖尿病性腎症
,
アルブミン尿
pp.182-188
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001022
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1 病因・病態
糖尿病性腎臓病(diabetic kidney disease:DKD)は糖尿病の細小血管合併症の1つであり,糖尿病に伴う代謝異常を背景としてもたらされる進行性の腎障害を包括する疾患概念である(図1)1)。DKDの病態は多因子的で,高血糖に伴うポリオール代謝の亢進やprotein kinase C(PKC)経路の活性化などの細胞内代謝異常の他,糖化修飾異常や酸化ストレスの亢進なども関与する。腎血行動態異常も重要な役割を果たし,高血糖によってもたらされる糸球体過剰濾過および糸球体肥大が引き金となり,血管内皮細胞障害やメサンギウム細胞,糸球体上皮細胞の機能異常が生じる。これらの経路が統合的に活性化されることによって慢性炎症状態が惹起され,細胞外基質の増生と糸球体構成細胞の減少を介して糸球体硬化に至る。
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