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特集 腎性貧血:HIF-PH阻害薬への期待と課題
【各論】
HIF-PH阻害薬使用時の注意点 悪性腫瘍
Malignancy risk in the use of HIF-PH inhibitors
松永 慎司
1
,
冨田 修平
1
MATSUNAGA Shinji
1
,
TOMITA Shuhei
1
1大阪公立大学大学院医学研究科 分子病態薬理学
キーワード:
腫瘍微小環境
,
低酸素
,
VHL病
,
発がん
,
腫瘍増悪
Keyword:
腫瘍微小環境
,
低酸素
,
VHL病
,
発がん
,
腫瘍増悪
pp.236-239
発行日 2022年8月25日
Published Date 2022/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000266
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はじめに
腫瘍組織では,脆弱な新生血管の形成と高い細胞増殖率をもつ腫瘍細胞により,低酸素状態が頻繁に発生している。低酸素の微小環境は腫瘍の成長と転移を促進し,がんの発生と進行に作用する。低酸素微小環境で誘導される因子として,多くの標的遺伝子や成長因子などの蛋白因子を活性化する転写因子,低酸素誘導因子(hypoxia inducible factor:HIF)がある。HIFを活性化するHIF-プロリン水酸化酵素(prolyl hydroxylase:PH)阻害薬の使用は,HIFを介して有益な生体作用をもたらすと同時に,悪性腫瘍の疾患病態ではHIFによる防御機構の発動に起因する副作用の可能性も懸念される。
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