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特集 予防医学からみた腎疾患診療
【CKDの発症・進展と合併症のリスクとされるエビデンス】
血圧 交感神経と腎障害
Renal sympathetic nerve and kidney dysfunction
江里口 雅裕
1
ERIGUCHI Masahiro
1
1奈良県立医科大学 腎臓内科学
キーワード:
腎交感神経求心路
,
腎交感神経遠心路
,
renal denervation(腎デナベーション)
,
腎内レニン-アンジオテンシン系
Keyword:
腎交感神経求心路
,
腎交感神経遠心路
,
renal denervation(腎デナベーション)
,
腎内レニン-アンジオテンシン系
pp.821-826
発行日 2022年5月25日
Published Date 2022/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000165
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はじめに
レニン-アンジオテンシン系(RAS)阻害薬,カルシウム拮抗薬や利尿薬などの降圧薬の進化とともに,以前と比べて血圧のコントロールは飛躍的に容易となった。一方で,降圧目標が年々低い値に設定されていくなかで,2015年にはSPRINT試験にて収縮期血圧120mmHgを目標とした厳格降圧が心血管合併症や生命予後を改善することが示された1)。しかし,収縮期血圧120mmHgの「至適血圧」を目標とした場合には,現行の降圧薬のみでは十分でないことを臨床現場では経験する。これは,現行の降圧薬でコントロールできない残余リスクの存在を意味している。腎交感神経活動(腎SNA)の亢進は,① レニン分泌,② 尿細管での塩分の再吸収,③ 中枢でのSNAの亢進を介して血圧上昇に関与しており,近年,血圧コントロールおよび臓器保護を目的とした腎交感神経の除神経(腎デナベーション)が再注目されている。腎デナベーションの手技は改良が加えられ,現在は高周波アブレーション,超音波アブレーション,アルコールによるケミカルアブレーションがある。近年,過去の失敗を反省して偽手術群と比較する無作為化比較試験が多数行われ,腎デナベーションによる,より明確な臨床的降圧効果が報告されている。
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