Japanese
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特集 COVID-19と腎臓病
【感染予防】
ワクチン開発
Current vaccine development in Japan
中山 哲夫
1
NAKAYAMA Tetsuo
1
1北里大学大村智記念研究所 ウイルス感染制御Ⅰ
キーワード:
新規ワクチン
,
mRNA
,
ウイルスベクター
Keyword:
新規ワクチン
,
mRNA
,
ウイルスベクター
pp.85-90
発行日 2022年1月25日
Published Date 2022/1/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000015
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はじめに
予防医学にワクチンの果たしてきた役割は大きく,多くの感染症に対するワクチンが開発されてきた。古くは1796年のジェンナーの種痘から生ワクチンがはじまり,世界中に種痘法がひろがり1805年にはジャカルタまで普及していた。痘苗種を輸入しようとしたがジャカルタから日本までは船旅で1~2週間かかり,その間高温に曝され不活化されて善感しなかった。種痘の瘡蓋を輸入するアイデアにより1849年には痘苗種が輸入できた。このアイデアを出したのは佐賀鍋島藩の藩医楢林宗建で,彼の息子を含めて3人の子供たちに接種し,彼の息子だけが善感したと伝えられている1)。ウイルス学がサイエンスとして確立されていない時代に,卓越したアイデアと進取の気概のもとに種痘の導入を実行した先人達が,日本のワクチン開発のパイオニアである1)。
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