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特集 直腸肛門病変の診断と治療
[直腸肛門の腫瘍性疾患:直腸癌]
直腸癌―直腸病変の謎
The mystery of rectal cancer
池松 弘朗
1
,
新村 健介
2
Hiroaki Ikematsu
1
,
Kensuke Shinmura
2
1東京大学医科学研究所附属病院消化器内科
2国立がん研究センター東病院消化管内視鏡科
キーワード:
直腸癌
Keyword:
直腸癌
pp.1382-1386
発行日 2025年11月25日
Published Date 2025/11/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000002299
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はじめに
直腸癌は,世界的に罹患率と死亡率の高い癌の一つである。直腸癌は,外科的切除が可能であっても侵襲が大きく,QOLの低下を招くことがあるため,早期発見・早期治療による予防的介入が重要である。直腸癌の予防を考えるうえでは,本稿で取り上げるいくつかの“謎”について理解しておくことが不可欠である。直腸では前癌病変である腺腫やserrated lesion(SSL)の割合が低いにもかかわらず,巨大な側方発育型腫瘍顆粒型(laterally spreading tumor-granular type:LST-G)病変と小型のⅡa+Ⅱc病変として発見されることが多い。これらは発育速度が速いと予想される一方で,適切な間隔でサーベイランス検査を実施しても,上記病変が発見されることはほとんどない。また,直腸癌は結腸癌と比較してリンパ節転移率は同程度であるものの,遠隔転移(特に肺転移)が多い特徴があるなど,直腸には多くの謎が存在する。そこで本稿では,直腸癌に関する現状をふまえ,その謎を最新の研究結果を交えながら考察する。

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