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特集 消化器内視鏡寸言集2025
Ⅴ.大腸・肛門
淡い発赤を見逃すな
Don’t miss a lesion with faint redness
三澤 将史
1
,
工藤 進英
1
Masashi Misawa
1
1昭和医科大学横浜市北部病院消化器センター
pp.578-579
発行日 2025年4月25日
Published Date 2025/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000002021
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解説
昨今,大腸内視鏡のquality indicator(QI)として腫瘍性病変の検出率,すなわちadenoma detection rate(ADR)が注目されている。これはADRと大腸癌の罹患・死亡が逆相関するためであり1),ADRが高い医師やADRが高い観察法などのほうが内視鏡検査の質としては高いと考えられているためである。確かにADRが高い検査は粘膜面の描出範囲が広い可能性が高く,結果として見逃しが少なくなり,質の高い検査につながると考えられる。しかしながら,この際に発見が容易なポリープ(隆起型)病変にばかり注目するのではなく,より悪性度が高い陥凹型腫瘍にも注目するべきである。陥凹型腫瘍は生物学的悪性度が高く,腫瘍径が小さい段階で粘膜下層に浸潤し,脈管侵襲などの割合も高いことが知られている2)。Japan Polyp Studyでは,初回内視鏡検査後に発見されたadvanced neoplasiaの多くがLST-NG病変であったことから3)わかるように,非隆起型の病変は腫瘍径が大きくても見落とす可能性があり,陥凹型早期大腸癌の初期像である0-Ⅱcについても同様であると考えられる。
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