Japanese
English
特集 消化器内視鏡寸言集2025
Ⅲ.胃・十二指腸
迷いのcardia
Don’t get lost in the cardia
赤松 泰次
1
Taiji Akamatsu
1
1長野県立信州医療センター内視鏡センター
pp.519-519
発行日 2025年4月25日
Published Date 2025/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001990
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解説
日本人の胃の形状には個体差があり,代表的なものとして鉤状胃,瀑状胃,牛角胃の3種類がある(図1)。鉤状胃の頻度が高いが,「穹窿部の体積が極端に大きな瀑状胃」や「胃角が不明瞭な牛角胃」といったいわゆる変形胃が一部の症例に認められる。そのなかで瀑状胃では,スコープを食道から胃内へ挿入した際に前方に穹窿部の後壁が存在し,一見して胃体部への挿入方向が確認しにくいことがある(図2)。初学者ではしばしば右矢印の方向へスコープを進め,穹窿部内でスコープが反転して噴門が見えるようになり,胃のなかで迷子になることが少なくない。スコープをねじらないかぎり胃体部は必ず左前方に存在し,左矢印の方向へスコープを進めるとよい。大彎の皺襞の走行もスコープの正しい挿入方向の目印になる。視野を確保しようとして過送気になると,穹窿部がさらに拡張して挿入方向がよりわかりにくくなる。ある程度経験のある内視鏡医でも,十二指腸スコープやEUSのように前方視鏡以外のスコープの挿入では同様の事態に陥ることがあるので注意が必要である。
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