Japanese
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特集 消化器内視鏡寸言集2025
Ⅱ.咽喉頭・食道
EP癌といえども食道腺を取り残すべからず,食道ESD
Even in cases of EP cancer, esophageal glands should not be left behind during esophageal ESD
有馬 美和子
1
,
原田 文人
1
,
横田 亜矢
2
Miwako Arima
1
1上尾中央総合病院消化器内科
2上尾中央総合病院病理診断科
pp.510-511
発行日 2025年4月25日
Published Date 2025/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001986
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解説
食道は粘膜下層(SM層)に固有食道腺があり,導管が粘膜表面に開口している。食道癌は上皮内癌(T1a-EP)であっても固有食道腺導管上皮を置換しながら,間質浸潤することなく進展し(導管内進展;ductal involvement:DI)(図1a),固有食道腺まで進展(腺侵襲:glandular involvement)(図1b)することがある。癌が導管上皮の基底膜を破壊して間質浸潤しないかぎり,pT1a-EPとして扱われるが,導管の基底膜を破壊して浸潤している場合には,その所見が存在する部位が深達度として判断される1)。固有食道腺内で浸潤がみられれば,表層はT1a-EPなのに,いきなりT1b-SM2となることもある。間質浸潤しているか上皮内にとどまっているかの判断は難しく,病理医間でも判断が分かれることが多い。また,病理標本で導管は断面が認められることが多く,上皮や固有食道腺とのつながりが確認できないこともある。いずれにしても,導管内進展はT1a-EPでも起こりうるため,固有食道腺を取り残したESDは,癌巣を遺残させている可能性があり,導管も途中で切断された場合には切除断端陽性の原因になる。
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