特集 咽喉頭・頸部食道癌を見逃すな-拾い上げから治療まで
咽喉頭、頸部食道癌のESD/ELPS 頸部食道表在癌のESD 内視鏡室でここまでできる
有馬 美和子
1
,
都宮 美華
,
剛崎 有加
,
石川 文隆
,
井下 尚子
,
神田 浩明
1埼玉県立がんセンター 内視鏡科
キーワード:
術後合併症
,
腫瘍侵入性
,
食道鏡法
,
食道腫瘍
,
内視鏡的粘膜下層剥離術
Keyword:
Endoscopic Mucosal Resection
,
Esophagoscopy
,
Postoperative Complications
,
Esophageal Neoplasms
,
Neoplasm Invasiveness
pp.1892-1901
発行日 2020年12月25日
Published Date 2020/12/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2021086323
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頸部食道表在癌は内視鏡室で通常どおりにESDが行えるか、手術室で全身麻酔下に行うか判断に迷うことがある。ESDを施行する際の注意点について検討した。内視鏡的に下咽頭下端の目安にしている柵状血管下端は、輪状軟骨や輪状咽頭筋(CPM)の肛門側に位置している。病変が柵状血管にかかっていても、送気で伸展し、病変の全貌が観察できれば内視鏡室でESDが施行可能である。その一方、下咽頭下端から頸部食道は椎体や気管による外圧迫やCPMの迫り上がりによりスコープ操作が制限されやすく、特に後壁はアングルがかからず観察さえ難しいことがある。鎮静しても全体像が把握できないときや、病変に近接できない場合には全身麻酔下ESDを選択する必要がある。ウォータージェットなどで過度に注水しなければ、オーバーチューブを使わなくてもESDが施行できる。柵状血管にかかる頸部食道癌は咽頭側横切開から開始し、先端が細くなったフードを装着してトラクションをかけ、咽頭・食道腺を取り残さないように筋層直上の層で剥離を進めるのが大切である。
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