Japanese
English
特集 消化器内視鏡寸言集2025
Ⅱ.咽喉頭・食道
頸部食道はゆっくり抜きながら観察する
Observe the cervical esophagus while slowly withdrawing the scope
今枝 博之
1
,
宮口 和也
1
,
都築 義和
1
Hiroyuki Imaeda
1
1埼玉医科大学消化管内科,総合診療内科
pp.504-505
発行日 2025年4月25日
Published Date 2025/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001983
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解説
頸部食道は輪状軟骨下縁と胸骨上縁までをいい,食道入口部が輪状咽頭筋によって締めつけられて管腔が狭く,周囲臓器からの圧迫もあって挿入時に十分な視野を確保しての観察は難しい1, 2)。また,スコープを食道に挿入する場合に,下咽頭後壁を滑らすように挿入を試みるが,非鎮静下での検査ではゆっくり挿入すると咽頭反射を誘発してしまい,視野が安定しないことが危惧されるため,通常はある程度素早く挿入して通り越し,いったん口側に少し抜去して観察してから徐々に噴門部へ観察しながら進めていく。このため,頸部食道から食道入口部は挿入時には素通りしていることが多いため,胃内の観察終了後に食道へ戻り,スコープを抜去していく際に食道の内腔が狭くなるところまで引きながら観察し,頸部食道から食道入口部は狭帯域光モードでゆっくりと抜きながら観察していくことが望ましい。頸部食道は大気圧を受けて常時内腔は閉じた状態のため3),持続的に送気をしながら頸部食道を観察する。持続的に送気することで食道内腔の拡張状態が維持され,レンズの水滴が付着しにくくなる1)。さらには被検者に深吸気と息止めをしてもらうと胸腔内圧が下がり,食道内腔が広がりやすくなる。また,フードを装着して観察したり,鎮静下で観察したりすることでより詳細に観察することが可能となる。
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