Japanese
English
特集 十二指腸・小腸疾患アトラス
Ⅱ.炎症性疾患
感染症:ウイルス性
サイトメガロウイルス(CMV)腸炎
Cytomegalovirus enteritis
今枝 博之
1
,
宮口 和也
1
,
松本 悠
2
,
塩味 里恵
2
,
大庫 秀樹
1
,
都築 義和
1
,
山田 健人
3
Hiroyuki Imaeda
1
,
Kazuya Miyaguchi
1
,
Hisashi Matsumoto
2
,
Rie Shiomi
2
,
Hideki Ohgo
1
,
Yoshikazu Tsuzuki
1
,
Taketo Yamada
3
1埼玉医科大学消化管内科
2埼玉医科大学総合診療内科
3埼玉医科大学病理診断科
キーワード:
サイトメガロウイルス
,
腸炎
,
CMV
Keyword:
サイトメガロウイルス
,
腸炎
,
CMV
pp.568-569
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001364
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疾患の概要
サイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV)はヘルペスウィルス科に属するDNAウイルスであり,周産期や幼児期の初感染(多くは不顕性感染)後に,潜伏感染する。本邦での成人の抗体保有率は90%以上である。免疫調節薬やステロイド,化学療法,臓器移植後,後天性免疫不全症候群など免疫不全状態の患者の増加に伴い,日和見感染として肺炎や腸炎などが増加しているが,近年では若年層の抗体保有率の低下に伴い,健常者でのCMV初感染が増加傾向である1)。CMV腸炎の発生機序は血管内皮細胞にウイルスが侵入して巨細胞化することにより血管内腔が狭小化し,虚血を引き起こして粘膜傷害をきたす。症状は下痢,腹痛,血便,発熱が多い。CMV抗原血症検査(CMVアンチジェネミア)は,CMV感染症の診断における感度および特異度が高く(>85%),CMV感染のモニタリングとして有効である2)。CMV腸炎は,国際CMV 会議のCMV 感染症診断基準において,①腹痛,下痢,血便などの消化器症状を呈する,②潰瘍やびらんなどの消化管病変の存在,③組織学的なウイルス感染の証明の3項目をすべて満たす場合に診断されるが3),③が困難な場合もある。
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