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はじめに
日本小児内視鏡研究会がまとめた小児消化器内視鏡検査に関する全国アンケート調査結果では,2011年から2016年の5年間にERCPは445施設で389件実施されていた1)。消化器内科の先生方がこの数値を目にされたときにどのような感想をもたれるのか,大変興味がある。筆者は成人における内視鏡診療の経験があり,小児の診療においてもおもに大学病院で新生児から学童までの内視鏡検査に長らく携わっていたが,このERCPの389件であれば筆者一人が一般病院消化器内科に勤務中,数年で実施したERCP検査数に相当するかもしれない。一方,小児においても適応があれば膵胆道疾患の診断・治療のために内視鏡を最大限活用したつもりであるが,実際には小児の膵胆道疾患はそもそも症例数が少ない。筆者個人の症例経験数が極端に多いわけでもなく,全国的に実施された症例は上記の389件なので,私が本稿の筆者にふさわしいかどうか心配ではあるが,少ない経験と知識を共有させていただきたい。本稿のtake home messageは「小児の膵胆道疾患の診断のための内視鏡検査は,他の画像モダリティに置き換わりつつあり,減少傾向である」である。極論ではあるが,小児において診断目的でERCPが必要となるのは,共通管が短い膵・胆管合流異常を疑った場合や,膵管癒合不全を疑った場合くらいで,これらすらも治療内視鏡を前提として検査が計画されるべきである。膵胆道疾患の内視鏡診療は,治療において最大限の有用性を発揮するため,ERCPやinterventional EUS(endoscopic ultrasound)は小児においても治療のためにもっと活用されるべきである。診断においてはEUSが小児においてもっと活用しやすくなることを望んでやまない。
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