Japanese
English
特集 十二指腸・小腸疾患アトラス
Ⅱ.炎症性疾患
感染症:細菌性
小腸結核
Small intestinal tuberculosis
大森 順
1
,
貝瀬 満
1
,
岩切 勝彦
1
Jun Omori
1
,
Mitsuru Kaise
1
,
Katsuhiko Iwakiri
1
1日本医科大学付属病院消化器・肝臓内科
キーワード:
小腸結核
,
小腸狭窄
Keyword:
小腸結核
,
小腸狭窄
pp.562-563
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001361
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疾患の概要
現在,肺結核は約16,000人,腸結核は200~300人が1年間に診断されている。肺結核の減少とともに,腸結核も近年減少傾向にある。性別はやや男性に多い。肺外結核としては,結核性胸膜炎,肺門リンパ節以外のリンパ節結核,粟粒結核に次いで腸結核が多い1)。腸結核の症状・身体所見は体重減少,腹痛,発熱,下痢,便秘,腹部腫瘤,貧血の頻度が高く,炎症性腸疾患と共通するところが多い。そのため腸結核はこれらの症状のある患者に炎症性腸疾患を疑い精査をする過程で診断されることが多い疾患である。一方でいずれの症状・身体所見も非特異的かつ必ずみられるものではなく,一つの症状・身体所見の有無だけで腸結核の除外はできない。また,便潜血検査陽性の精査などで発見される無症状例も多く,特有の腸管変形や萎縮瘢痕帯がない症例が増加しており,診断に注意する必要がある。腸結核の罹患部位は回盲部が40~50%,大腸が20~30%で圧倒的に下部消化管が多いが,稀に食道や胃十二指腸にもみられるため,下部消化管の病変だけでなく上部消化管の炎症性肉芽腫性病変でも腸結核を鑑別診断にあげる必要がある2)。
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