Japanese
English
今月の主題 狭窄を来す小腸疾患の診断
主題症例
原発性小腸癌
Primary Carcinoma of the Small Intestine
石橋 英樹
1
,
二村 聡
2
1福岡大学医学部消化器内科
2福岡大学医学部病理学講座
キーワード:
原発性小腸癌
,
小腸狭窄
,
輪状狭窄
,
空腸癌
Keyword:
原発性小腸癌
,
小腸狭窄
,
輪状狭窄
,
空腸癌
pp.1708-1709
発行日 2016年12月25日
Published Date 2016/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403200791
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症例
患者は50歳代,女性.意識障害,嘔吐,体重減少(20kg/9か月)を主訴に当院へ救急搬送された.血液検査にて,貧血(Hb6.3g/dl), 腎機能障害(BUN 85mg/dl,Cr 5.7mg/dl),低Na血症(Na 123mEq/l)を認めた.輸液管理,輸血を行い,貧血,高度脱水,電解質異常を補正し,全身状態の改善を認めた.精査のため施行した画像検査にて,空腸に単発の狭窄性病変を認めた.本例はTreitz靱帯より約15cm肛門側に発生した空腸癌であり,好発部位であるTreitz靱帯より60cm以内1)に発生していた.小腸X線造影検査ではnapkin-ring signを認め,狭窄長が短い輪状狭窄型であった(❶).小腸内視鏡検査では,全周性に周堤を伴う不整形潰瘍性病変を認めた(❷,❸).同部の生検診断は,高分化管状腺癌であった.腹部CT,PET-CTでは,空腸に壁肥厚像,FGD(18F-fluorodeoxyglucose)の異常集積を認めた(❹,❺).以上の点を踏まえ,腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した.
切除後の固定標本では,全周性の周堤隆起を有する潰瘍性病変を認め,口側腸管は著しく拡張していた(❻).病理組織学的には,漿膜組織まで浸潤した高異型度の高分化管状腺癌であった(❼).
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