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特集 十二指腸・小腸疾患アトラス
Ⅰ.腫瘍,腫瘍様病変
リンパ増殖性病変
形質細胞腫瘍・骨髄腫
Plasma cell neoplasm (plasmacytoma/plasma cell myeloma)
安藤 勝祥
1
,
藤谷 幹浩
1
Katsuyoshi Ando
1
,
Mikihiro Fujiya
1
1旭川医科大学内科学講座消化器内科学分野
キーワード:
髄外性形質細胞腫
,
多発性骨髄腫
Keyword:
髄外性形質細胞腫
,
多発性骨髄腫
pp.492-493
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001326
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疾患の概要
十二指腸・小腸に発生する形質細胞腫瘍として,多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM)の髄外病変,小腸原発の孤立性形質細胞腫や全身性ALアミロイドーシスの十二指腸・小腸病変があげられる。多発性骨髄腫の消化器髄外病変は0.9%と頻度が低い1)。軟部組織に発生したものを髄外性形質細胞腫(extramedullary plasmacytoma:EMP)といい,形質細胞腫瘍の5%にみられ,発症形式として初発・再発いずれもある。近年の報告では,EMPの発生部位は上気道原発が62%と多く,消化器原発は11%,消化器原発のうち十二指腸・小腸原発は17%(全体の約2%)であった2)。小腸EMPのうち,十二指腸33%,空腸39%,回腸28%であり,半数以上で腹痛や嘔気・嘔吐をきたしており,腸閉塞や腸重積により発症した報告もみられる3)。小腸EMPに対する確立された治療ストラテジーはないが,完全切除可能な症例に対しては外科的切除が優先され,不完全切除・遺残例に対しては放射線照射が追加される。MMへの進展例では化学療法が必要となる。EMPの疾患特異的生存割合は80%以上と予後良好とされるが,多発性骨髄腫への移行例では多発性骨髄腫と同様に予後不良となる。
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