【Note】LECS後に縫合不全を発症し，重篤な術後経過をたどった胃管癌の1例

A case of gastric tube cancer with severe postoperative course due to suture failure

はじめに

　消化管間質腫瘍（gastrointestinal stromal tumor：GIST）を含めた胃粘膜下腫瘍（submucosal tumor：SMT）に対して，腹腔鏡下胃局所切除が広く行われている。胃SMTに有用な術式として，2008年，Hikiらは，腹腔鏡内視鏡合同手術（laparoscopic and endoscopic cooperative surgery：LECS）を報告した^1）。LECSは2014年に保険収載され，現在多くの施設で導入されている。近年では，inverted LECS，closed LECS，CLEAN-NET，非穿孔式内視鏡的胃壁内反切除術（non-exposed endoscopic wall-invasion surgery：NEWS）などの悪性腫瘍に対するLECS関連手技が開発され，粘膜病変を有する粘膜下腫瘍や早期胃癌などに適応が広がってきている。本稿では，食道癌術後，胃管癌に対してLECSを施行し重篤な合併症を認めたが，集中治療と再手術により，事なきを得た症例を報告する。