Japanese
English
特集 消化管出血のすべて
[各論 小腸(空腸・回腸)出血への対応]
OGIB(非緊急時)の出血源検索
Bleeding source identification in non-emergent occult gastrointestinal bleeding
藤森 俊二
1,2
,
濱窪 亮平
1,2
,
星本 相理
2
,
西本 祟良
2
,
大森 順
2
,
田中 周
2
,
辰口 篤志
2
,
岩切 勝彦
2
Shunji Fujimori
1,2
,
Ryohei Hamakubo
1,2
,
Aitoshi Hoshimoto
2
,
Takayoshi Nishimoto
2
,
Jun Omori
2
,
Shu Tanaka
2
,
Atsushi Tatsuguchi
2
,
Katsuhiko Iwakiri
2
1日本医科大学千葉北総病院消化器内科
2日本医科大学消化器内科学
キーワード:
原因不明消化管出血
,
ガイドライン
,
小腸内視鏡
Keyword:
原因不明消化管出血
,
ガイドライン
,
小腸内視鏡
pp.497-502
発行日 2023年4月25日
Published Date 2023/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000708
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はじめに
活動性消化管出血で来院し,上下部内視鏡検査・造影CT検査・血管造影検査・小腸鏡などを駆使して出血源を同定することができれば,内視鏡治療・血管内治療・手術などで治療することができる。しかし,出血が続いて血圧が下がると多くの患者は自然止血し,特に造影CT検査・血管造影検査で出血源の指摘は困難になる。さらに,内視鏡検査で明らかな出血源を指摘できないと出血源が不明な状態となる。消化管出血患者の10~20%程度は初回の出血源検索で出血源が同定できない。これらの患者の約半数は出血を繰り返すとされ,入院の反復や多量の輸血を必要とする1)。これら出血源が特定できない消化管出血を原因不明消化管出血(obscure gastrointestinal bleeding:OGIB)と称している。通常検査である上下部内視鏡検査で観察困難な部位で出血しているケースが少なくないことから,OGIB患者には小腸出血が多く含まれている。そのため,小腸の評価を容易にしたカプセル内視鏡と,小腸の精確な評価と治療を可能にしたバルーン内視鏡がOGIB診療の基本的な検査となってきている。さらには,性能進歩が著しく,精度を増しているCTやMRIと,技術進歩の目覚ましい血管造影検査が伴って,OGIB診療を含む小腸疾患診療に大きな変革をもたらした。ここでは,活動出血時に出血源を特定できなかった症例や便潜血を伴う鉄欠乏性貧血など,待機的に検査が可能なOGIB診療について解説したい。
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