Japanese
English
今月の主題 出血性小腸疾患─内視鏡診断・治療の最前線
序説
原因不明消化管出血(OGIB)はどこまで解明されたか
Introduction
松井 敏幸
1
Toshiyuki Matsui
1
1福岡大学筑紫病院消化器科
キーワード:
原因不明消化管出血
,
小腸内視鏡
,
カプセル内視鏡
,
原因疾患
,
追跡
Keyword:
原因不明消化管出血
,
小腸内視鏡
,
カプセル内視鏡
,
原因疾患
,
追跡
pp.309-311
発行日 2010年3月25日
Published Date 2010/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403101863
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はじめに
本誌では,10年前の2000年35巻6号に「腸管の血管性病変─限局性腫瘍状病変を中心に」が企画された.同号はカプセル内視鏡(capsule endoscopy ; CE)とダブルバルーン小腸内視鏡(double balloon enteroscopy ; DBE)が実際に使用される前の時代である.同号では,古賀ら1)は消化管の血管性病変を文献的に集計し,1990~99年の10年間で607例の臨床像を分析した.その要旨は,腸管部位別にみると動静脈奇形と血管腫は小腸に好発すること,angiodysplasiaは大腸に好発すること,さらに時代的にみると後半5年間に報告例が1.5倍に増えたことであった1).現在の原因不明消化管出血(obscure gastrointestinal bleeding ; OGIB)と同様の傾向を文献的に予言したことになる.同号で岩下ら2)は,血管異形成と動静脈奇形の用語の用い方の混乱を指摘し,vascular ectasia,arteriovenous malformationを形態,発生機序と頻度を考慮して分類を進めた.これは,その後のYanoら3)の小腸血管病変の内視鏡分類につながる.
このように同号の内容は,概念を整理しangiodysplasiaという用語よりもangioectasiaを採用する3)など,用語の統一や内視鏡所見の統一が徐々に進む礎になった.しかし,現在も分類や用語の統一は完全ではない.
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