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特集 表在型食道扁平上皮癌―内視鏡診断と治療update―
[各論 表在型食道扁平上皮癌の内視鏡治療と治療後サーベイランス]
pT1a-MM/T1b-SM1食道扁平上皮癌のESD後マネージメント―pT1a-MMに追加治療は要らないか?
Post-ESD management of pT1a-MM/T1b-SM1 esophageal squamous cell carcinoma: does pT1a-MM require additional treatment?
上田 智也
1
,
石原 立
1
Tomoya Ueda
1
,
Ryu Ishihara
1
1大阪国際がんセンター消化管内科
キーワード:
食道扁平上皮癌
,
ESD
,
追加治療
Keyword:
食道扁平上皮癌
,
ESD
,
追加治療
pp.1871-1876
発行日 2022年11月25日
Published Date 2022/11/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000539
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要旨
「食道癌に対するESD/EMRガイドライン」では「術前にcT1a-MM/T1b-SM1と診断した非全周性の食道扁平上皮癌に対して,初回治療として内視鏡切除を行うことを弱く推奨する」と記載され,cT1a-MM/SM1の食道癌に対する内視鏡切除が広く行われている。内視鏡切除後にpT1a-MM以深である場合や脈管侵襲を伴う場合は転移のリスクが高くなるため追加治療について検討する必要がある。脈管侵襲陰性のpT1a-MMは過去の症例集積で転移再発割合は5.6%であり,ガイドラインで追加治療の要否に関する明確な推奨はないものの,追加治療による治療関連死や有害事象のリスクを考えると現段階では慎重な経過観察が妥当と思われる。一方で,脈管侵襲陰性のpT1b-SM1は過去の症例集積で転移再発割合は13.2%と高く,ガイドラインでは追加治療を推奨している。転移再発割合のもとになった報告の多くは後ろ向きの症例集積であり,今後転移頻度に関して前向き研究などのより信頼性の高い報告が期待される。また,JCOG0508の結果から,食道表在癌に対する内視鏡切除+追加化学放射線療法(CRT)の安全性と有効性が証明されたが,追加治療として外科手術とCRTのどちらが再発予防と長期成績の向上の点で優れているかは明確ではない。現在行われている多施設共同研究ならびにランダム化比較試験の結果が待たれる。
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