特集 胃疾患アトラス 改訂版
各論
Ⅵ. 特殊な形態を呈する病変
Double pylorus
岡本 康治
1
,
檜沢 一興
1
,
鳥巣 剛弘
2
Yasuharu OKAMOTO
1
,
Kazuoki HIZAWA
1
,
Takehiro TORISU
2
1公立学校共済組合九州中央病院消化器内科
2九州大学大学院病態機能内科学
キーワード:
double pylorus
,
偽幽門
,
胃十二指腸潰瘍
Keyword:
double pylorus
,
偽幽門
,
胃十二指腸潰瘍
pp.328-329
発行日 2022年10月20日
Published Date 2022/10/20
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000474
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
疾患の概要
Double pylorusは本来の幽門輪と別に,胃十二指腸間に副交通路が形成される比較的稀な疾患である。発生機序に関しては,胎生期の腸管形成過程の異常で幽門に隔壁が形成される先天性と消化性潰瘍に瘻孔を伴う後天性があり,ほとんどが後天性である。Gould1)やDrapkinら2)により,瘻孔部位で,胃体部小彎と十二指腸球部が交通する1型,胃後壁と十二指腸第3部または第4部が交通する2型,胃幽門前庭部と十二指腸球部が交通する3型に分類されている。本邦での報告は80%以上が3型である。本症の発生頻度は内視鏡検査で0.06~0.11%,男女比は5:2と男性に多く3),約15%に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が関与しているとされる4)。プロトンポンプ阻害薬(PPI)などの強力な制酸薬の登場により報告が減少している。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.