特集 胃疾患アトラス 改訂版
各論
Ⅳ. びまん性病変
1. びまん性炎症性病変
Collagenous gastritis
清森 亮祐
1
,
蔵原 晃一
1
,
大城 由美
2
Ryosuke KIYOMORI
1
,
Koichi KURAHARA
1
,
Yumi OSHIRO
2
1松山赤十字病院胃腸センター
2松山赤十字病院病理診断科
キーワード:
特殊型胃炎
,
陥凹性病変
,
collagen band
Keyword:
特殊型胃炎
,
陥凹性病変
,
collagen band
pp.272-273
発行日 2022年10月20日
Published Date 2022/10/20
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000448
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疾患の概要
Collagenous gastritisは1989年にCollettiとTrainer1)による症例報告に始まる原因不明の稀な慢性胃炎であり,collagenous colitisと同様に上皮下のcollagen bandの肥厚(>10μm)と粘膜固有層の慢性炎症細胞浸潤により病理組織学的に定義されている。欧米の報告に基づくと,本症は特徴的な病理組織学的所見が胃に限局するタイプ(胃限局型)と大腸や小腸にも同様の組織所見を呈する腸病変(collagenous colitisやcollagenous sprue)の合併を認めるタイプ(腸病変合併型)の2つの病型に分類される(表)。胃限局型は小児から若年者に好発し上腹部症状や貧血を診断契機とする薬剤との関連性を認めないのに対して,腸病変合併型は中高年者に好発し下痢を主訴とする多くの症例で臨床経過から薬剤との関連性が示唆されている。本症の本邦報告例は現在までに20例あまりで,ほとんどが胃限局型2)である。腸病変合併型の本邦報告例は1例のみであるが3),collagenous colitisやcollagenous sprueの確定診断例において上部消化管内視鏡が施行され胃病変の存在が病理組織学的に否定された報告は少ないことから,上部消化管症状に乏しい腸病変合併型が潜在している可能性は否定できない。
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