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特集 胃疾患アトラス 改訂版
各論
Ⅳ. びまん性病変
1. びまん性炎症性病変
好酸球性胃炎
Eosinophilic gastritis
加藤 元嗣
1
,
津田 桃子
1
,
久保 公利
1
Mototsugu KATO
1
,
Momoko TSUDA
1
,
Kimitoshi KUBO
1
1国立病院機構函館病院消化器内科
キーワード:
アレルギー
,
炎症性疾患
,
びらん
Keyword:
アレルギー
,
炎症性疾患
,
びらん
pp.274-275
発行日 2022年10月20日
Published Date 2022/10/20
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000449
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疾患の概要
好酸球性胃炎は好酸球性消化管疾患(eosinophilic gastrointestinal disorders:EGIDs)を構成する疾患である。厚生労働省好酸球性消化管疾患研究班1)では,EGIDsは好酸球の消化管局所への異常な集積から好酸球性炎症が生じ,消化管組織が傷害され,機能不全を起こす疾患の総称と定義される。炎症の部位により好酸球性食道炎,好酸球性胃炎,好酸球性胃腸炎,好酸球性大腸炎に分けられるが,好酸球性食道炎以外を明確に区別することは難しく,好酸球性胃炎は好酸球性胃腸炎に包括されることが多い。好酸球浸潤が胃に限局する症例に対しては,好酸球性胃炎とする診断を積極的に用いるべきである2)。好酸球性胃腸炎の診断指針では,腹痛,下痢,嘔吐などの症状を有し,胃,小腸,大腸粘膜内の好酸球主体の炎症細胞浸潤(20細胞/高倍率1視野(HPF)以上,他の炎症性疾患を除外)または腹水中に多数の好酸球の存在が必須となる1)。また,参考項目では,喘息などアレルギー疾患の病歴,末梢血中の好酸球増多,CT検査で胃・腸管壁の肥厚,内視鏡検査で胃・小腸・大腸の浮腫・発赤・びらん,グルココルチコイドが有効の5項目がある。好酸球性胃炎の診断は心窩部痛などの症状と胃粘膜に20細胞/HPF以上の好酸球浸潤を認め,胃以外の消化管粘膜には好酸球浸潤を認めない場合となる。米国での疫学データ成績では好酸球性胃炎,好酸球性胃腸炎,好酸球性大腸炎の頻度は10万人に6.3人,8.4人,3.3人で,好酸球性胃腸炎は5才以下の小児に多いが,好酸球性胃炎は比較的高齢者に多く,他のアレルギー疾患との併存率は38.5%であった3)。
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