Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
大腸鋸歯状病変とは鋸歯状の管腔構造を特徴とする病変の総称であり,2010年のWHO分類(WHO分類2010)1)では①hyperplastic polyp(HP)〔microvesicular HP(MVHP),goblet cell-rich HP(GCHP),mucin-poor HP(MPHP)〕,②traditional serrated adenoma(TSA),③sessile serrated adenoma/polyp(SSA/P),④SSA/P with cytological dysplasiaに分類され臨床病理学的・遺伝子学的検討がなされてきた。その結果,SSA/PはBRAF変異とthe CpG island methylation phenotype(CIMP)highなどの遺伝子変異を特徴とするserrated pathwayを経て癌化し,マイクロサテライト不安定性(MSI)陽性大腸癌の前駆病変の可能性が指摘され2),第三の発癌ルートとして近年大変注目される病変となったが,一方で臨床および病理診断における課題も指摘されるようになった。その結果,2019年のWHO分類(WHO分類2019)3)では①HP(MVHP,GCHP),②TSA,③sessile serrated lesion(SSL),④SSL with dysplasia(SSLD),⑤unclassified serrated adenomaに改定された。このような背景のもとで大腸鋸歯状病変に対する治療方針に関して,日本消化器病学会「大腸ポリープ診療ガイドライン」および日本消化器内視鏡学会「大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスのガイドライン」ではいずれも切除を推奨ないし提案しているが,明確な基準が示されておらず,特にSSL(SSA/P)の治療方針に関しては施設間で方針が異なっているのが現状である。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.