特集 消化管悪性リンパ腫のすべて
悪性リンパ腫の疫学と病型分類、病期分類
二村 聡
1
,
太田 敦子
,
田邉 寛
,
小野 貴大
,
金城 健
,
今村 健太郎
,
小野 陽一郎
,
大津 健聖
,
久部 高司
,
金光 高雄
,
宮岡 正喜
,
八尾 建史
1福岡大学筑紫病院病理部・病理診断科
キーワード:
腫瘍進行度
,
発生率
,
リンパ腫
,
WHO分類
Keyword:
Lymphoma
,
Incidence
,
Neoplasm Staging
pp.810-820
発行日 2021年5月25日
Published Date 2021/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2021243035
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悪性リンパ腫は最も頻度の高い造血器悪性腫瘍であり、本邦では新規罹患数が年々増加している。悪性リンパ腫のなかで最も頻度が高い病型はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫であり、これに濾胞性リンパ腫が続く。一方、本邦のHodgkinリンパ腫の発生頻度は海外に比べてきわめて低い。血液・リンパ系腫瘍の分類は、いくつもの混乱を乗り越え現在のWHO分類に至っている。その最新版に相当する改訂第4版では、新たな暫定的疾患単位の追加や一部の真の疾患単位の名称変更などがなされている(例:monomorphic epitheliotropic intestinal T-cell lymphoma)。今日の血液・リンパ系腫瘍のWHO分類は、細胞系列によって区分けし、それぞれのカテゴリーのなかに細胞・組織形態、免疫学的表現型、染色体・分子異常、臨床病態のすべてにより定義される病型・疾患単位が含まれている。悪性リンパ腫の病期は病変の解剖学的な広がりによって決定される。歴史的にはAnn Arbor分類とその修正版であるCotswolds分類が汎用されたが、いずれもHodgkin病に特化した病期分類であったため非Hodgkinリンパ腫に運用すると不都合な点が多かった。その後、Hodgkinリンパ腫にも非Hodgkinリンパ腫にも適用できる、The Lugano classification、2014が公表され、その臨床的有用性が認められている。悪性リンパ腫の診療に際しては、臨床医も病理医も、これらの分類や歴史的背景を正しく理解し、適切に運用することが重要である。
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