特集 臨床医に必要な対策型胃内視鏡検診の知識
本邦における胃がんの未来予想図と今後の胃がん検診のあり方
津金 昌一郎
1
1国立がん研究センター社会と健康研究センター
キーワード:
胃腫瘍
,
集団検診
,
発生率
,
リスク評価
,
年齢調整死亡率
Keyword:
Stomach Neoplasms
,
Mass Screening
,
Risk Assessment
,
Incidence
pp.1742-1748
発行日 2019年12月25日
Published Date 2019/12/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020105032
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胃がんの罹患・死亡数は、高齢化の影響により総数として今後しばらくは横ばい傾向と予想されるが、そのほとんどは75歳以上で占められ、より若い世代の胃がんは減少し続けている。年齢調整した罹患・死亡率は戦後一貫して減少傾向にあるが、Helicobacter pylori感染、喫煙、高塩分摂取などの胃がんの主要なリスク要因の保有者が減少していることに起因しており、今後も減少することが予想される。現状では、胃X線と内視鏡による検診が50歳以上に対して一律に隔年で提供されているが、今後は精度の高いリスク層別法にもとづいて、一定の確率以上で胃がんに罹患すると想定される個人、すなわち検診による利益を受ける確率が高い個人を対象として提供されることが望まれる。一方で、利益を受ける確率が低い個人を検診の対象としないことにより、検診による不利益やコストを抑えることにもつなげられる。個別化検診の早急な実用化が求められる。
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