消化器がん診療の最前線 適切な診療を行うためのエッセンス
消化器がんの予防と検診 その現状と課題
津金 昌一郎
1
1国立がん研究センターがん予防・検診研究センター
キーワード:
胃腫瘍
,
肝臓腫瘍
,
集団検診
,
消化器腫瘍
,
食道腫瘍
,
膵臓腫瘍
,
大腸腫瘍
,
年齢調整死亡率
Keyword:
Digestive System Neoplasms
,
Esophageal Neoplasms
,
Liver Neoplasms
,
Mass Screening
,
Pancreatic Neoplasms
,
Stomach Neoplasms
,
Colorectal Neoplasms
pp.559-564
発行日 2014年10月1日
Published Date 2014/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2015008992
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消化器がんは,日本人のがん罹患・死亡の約半数を占める.年齢調整死亡率は,胃がんと女性の食道がんが戦後一貫して減少傾向,膵臓がんが上昇傾向にあるが,その他の部位は,戦後増加していたのが1990年代半ばごろより横ばいから減少傾向にある.喫煙はすべての消化器がん,飲酒は胃がんを除くがん,肥満は大腸・肝臓・膵臓のがんの共通したリスク要因である.塩分(胃),赤肉・加工肉(大腸),身体活動量不足(結腸),野菜・果物摂取不足(食道,胃)などは,特定部位の消化器がんのリスク要因である.Helicobacter pylori菌(胃)や肝炎ウイルス(肝臓)などの持続感染をほぼ原因とするがんは,感染予防や細菌・ウイルスの除去が発がん予防に有効である.胃X線による胃がん検診,便鮮血検査による大腸がん検診は,死亡率減少効果が期待されるため厚生労働省が推奨するがん検診である.
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