特集 表在性十二指腸腫瘍の新展開
十二指腸の解剖学的特徴と内視鏡診療を困難にする要因
山本 博徳
1
,
三浦 義正
1自治医科大学 内科学講座消化器内科学部門
キーワード:
十二指腸鏡法
,
十二指腸腫瘍
,
術後合併症
,
術中合併症
,
出血
,
鑑別診断
,
術前評価
,
生検
,
腸穿孔
,
内視鏡的粘膜下層剥離術
Keyword:
Biopsy
,
Diagnosis, Differential
,
Duodenal Neoplasms
,
Hemorrhage
,
Intraoperative Complications
,
Endoscopic Mucosal Resection
,
Intestinal Perforation
,
Postoperative Complications
,
Duodenoscopy
pp.1007-1013
発行日 2019年7月25日
Published Date 2019/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2019334137
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表在性十二指腸腫瘍に対する内視鏡治療は他の消化管での治療に比較して困難で、危険性が高い。特に大型の表在性腫瘍に対するESDは十二指腸が難易度・危険性ともに最も高いことが知られている。このように十二指腸ESDが困難であるのは、その解剖学的特徴によるところが大きい。口側に管腔の大きい胃が介在しているが十二指腸自体は管腔が狭く、Cの字形に屈曲して固定されているため繊細な内視鏡操作が困難となる。粘膜切開しても創が開かず、粘膜下層は血管が豊富で出血しやすく線維が粗いため粘膜膨隆が保てない。筋層は菲薄で容易に穿孔する。膵液・胆汁が組織傷害性をもつため、剥離創の筋層を消化し、遅発穿孔を起こしやすい。穿孔後の経過でも穿孔部の閉鎖が難しく、また後腹膜に流れた膵液・胆汁のために炎症が重篤化しやすく膵炎や大出血をきたすリスクがある。したがって表在性十二指腸腫瘍に対する内視鏡治療の適応、手技の選択は、術前の段階でリスクとベネフィットを十分考慮し、慎重に判断するべきである。
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