特集 こんなにある薬剤性消化管傷害
胃 プロトンポンプ阻害薬内服による胃粘膜病変 胃ポリープの増大・黒点・多発性白色扁平隆起
鎌田 智有
1
,
畑野 悠
,
高張 康介
,
角 直樹
,
眞部 紀明
,
物部 泰昌
,
高尾 俊弘
,
春間 賢
1川崎医科大学 健康管理学
キーワード:
ヘリコバクター感染症
,
Helicobacter pylori
,
胃鏡法
,
胃疾患
,
胃粘膜
,
食道炎-逆流性
,
経口投与
,
ポリープ
,
Proton Pump Inhibitors
,
除菌療法
,
長期投与
Keyword:
Stomach Diseases
,
Esophagitis, Peptic
,
Gastric Mucosa
,
Gastroscopy
,
Administration, Oral
,
Helicobacter pylori
,
Helicobacter Infections
,
Polyps
,
Proton Pump Inhibitors
pp.890-898
発行日 2019年6月25日
Published Date 2019/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2019312031
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プロトンポンプ阻害薬(PPI)の長期内服による胃粘膜の変化として、これまでに胃底腺ポリープおよび胃過形成性ポリープの発生やその増大がおもに報告されていた。近年になりそれに加えて、黒点、多発性白色扁平隆起(春間・川口病変)、敷石状粘膜などの所見も報告されるようになってきた。PPI長期内服によるこれら胃病変の発生機序については明らかではないが、PPIによる直接作用によるもの、あるいはそれに伴う高ガストリン血症が関与していると考えられる。また、胃粘膜の病理組織学的所見としてparietal cell protrusionと呼称される所見、すなわち胃底腺の腺管拡張に伴い、腫大し尖った壁細胞が腺内腔に突出し鋸歯状変化した所見が認められる。PPI関連胃病変の頻度は今後上昇することが予想されるため、これらの発生に注目し、その詳細な発生機序や臨床的意義を検討していくことが重要である。
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