発行日 2016年8月10日
Published Date 2016/8/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2017024710
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症例は57歳女性で、慢性腎不全で10年来血液透析のため近医に通院中であった。1年8ヵ月前に、左肘部関節部上腕動脈-肘正中皮静脈シャントを作製したが、術後に高度な左前腕の腫脹が出現した。術後1年で、ターニケット圧迫・局所麻酔下でシャント結紮術を試みるも、皮下などの側副血行路からの出血量が多く無血野を確保できずにシャント結紮術が断念された。以後経過観察となっていたが、左上肢に蜂窩織炎を合併し浮腫・発赤が増悪したため、左肘部関節部上腕動脈-肘正中皮静脈シャント閉塞目的に紹介となった。患肢でのバスキュラ一アクセスは不適切と判断し、一時的に血液透析用ダブルルーメンカテーテルを使用し、以後は健肢に作製した内シャントを使用して血液浄化を施行した。左上肢3D-CTでは鎖骨と第一肋骨交差部で鎖骨下静脈の狭窄を認めた。上腕動脈の遮断前は静脈からの拍動性出血を認めたが、バルーンカテーテルでの遮断により無血野を得て左肘部関節部上腕動脈-肘正中皮静脈シャント吻合部を露出した。2cmほどに拡張した肘正中皮静脈を動静脈吻合部近傍にて結紮した。術後経過は良好で左上肢浮腫は徐々に改善した。
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