症例
運動障害がなく、診断に難渋した血液透析患者の特発性脊髄硬膜外血腫の1例
小島 一紀
1
,
高橋 郁太
,
牧野 利行
,
河野 洋平
,
木村 眞規子
,
吉嶺 朝陽
,
木村 麻衣
,
日下 敬太
,
志熊 聡美
1秀和綜合病院 腎臓内科
キーワード:
血液透析
,
鑑別診断
,
腎不全-慢性
,
頸部痛
,
背痛
,
Nafamostat
,
硬膜外血腫-脊髄
Keyword:
Neck Pain
,
Back Pain
,
Diagnosis, Differential
,
Renal Dialysis
,
Kidney Failure, Chronic
,
Hematoma, Epidural, Spinal
,
Nafamostat
pp.413-415
発行日 2020年9月25日
Published Date 2020/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/J00714.2021032926
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症例は63歳男性で、良性腎硬化症のため5年間の透析歴があった。就寝中に突然、頸部から背部の激痛を認め、当院へ救急搬送された。諸検査を行うも原因疾患の特定には至らず、対症療法後に自宅で経過をみていたが、症状の改善を認めないため救急外来へ再来院し、精査加療目的に入院となった。神経学的所見では、両上肢の異常感覚と温度覚の低下があったが、MMTは両上下肢5/5で、筋力低下や運動麻痺はなかった。頸椎MRIのT1強調画像でC3-C6レベルの脊柱管背側に等~低信号域、T2強調画像では同レベルの脊柱管内左背側に高信号域を認め、特発性頸髄硬膜外血腫と診断した。整形外科へコンサルトし、運動麻痺が出現した場合、緊急手術を施行する方針となった。第2病日より抗凝固薬をナファモスタットメシル酸塩へ変更し、血液透析を施行、疼痛と四肢のしびれは著明に改善傾向であった。第14病日に退院となり、第16病日の頸椎MRIでは血腫の消失と脊髄圧迫の解除を認めた。第22病日から抗凝固薬をヘパリンナトリウムへ変更した。
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