発行日 2015年7月10日
Published Date 2015/7/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2015337795
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血液透析(HD)患者21例(男性12例、女性9例、45~83歳、平均68歳を対象に、HD患者のにおけるHD中の末梢循環を灌流係数(PI)で測定し、PIと臨床パラメータの関係からPIの臨床的意義について検討した。透析歴は中央値54ヵ月(0~450ヵ月)で、腎不全の原疾患は糖尿病が9例、心血管疾患合併が12例であった。測定曜日を変えた個人でのPIの再現性は良好であった。手指と足趾の経時的変化のパターンは概ね同様であった。HD中のPIの経時的変化は個々の患者で異なり、PI値が時間とともに上昇していく例2例、変わらない例8例、下降していく例10例、手指は低下するが足趾は上昇する例1例と大きく分けて4パターンがみられた。年齢、性別、透析歴とHD開始時のPI値(PI0)に関係はみられなかった。心血管疾患のある患者では、そうでない患者に比べPI0が手指、足趾ともに有意に低値を示した。HD中のPI変化率が≦-0.1であるPI維持群(n=5)およびPI変化率<-0.1であるPI低下群(n=6)でのパラメータを比べたが、2群間でHD開始時と終了時の収縮期血圧、心拍数に有意差を認めなかった。しかし、PI低下群で開始時より終了時で血圧が上昇している例が多くみられた。PIは再現性良好で、HD中の循環モニターとして利用可能である。また、PIは併存疾患、除水操作、抗凝固薬の種類など多くの臨床的要因に影響されることが示唆された。
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