特集 Muse細胞 -現状と将来展望-
2.脳梗塞におけるMuse細胞を用いた治療戦略
新妻邦泰
1
,
冨永悌二
2
Kuniyasu Niizuma
1
,
Teiji Tominaga
2
1東北大学大学院医工学研究科 神経外科先端治療開発学分野 教授/東北大学大学院医学系研究科 神経外科先端治療開発学分野 教授/東北大学大学院医学系研究科 神経外科学分野 教授
2東北大学大学院医学系研究科 神経外科学分野 教授
pp.185-195
発行日 2019年1月30日
Published Date 2019/1/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201902185
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脳梗塞は脳卒中全体の約6割を占める。既存の如何なる治療法を用いても,脳梗塞に陥った組織を回復させられないため,半数以上に障害が後遺する。したがって,脳組織自体を再生させうる幹細胞治療に期待が集まっている。Muse細胞(Multilineage-differentiating stress enduring cell)は生体に存在する自然の多能性幹細胞であり,腫瘍性を持たず安全性が高い。Muse細胞は血管内や局所に投与するだけで傷害部位を認識して生着し,組織に応じた細胞に自発的に分化して修復する。目的とする細胞への事前の誘導操作を必要とせず,投与するだけで再生治療が可能である。本稿では,本邦で取り組まれている脳梗塞に対する幹細胞治療を概説するとともに,脳梗塞に対するMuse細胞治療の可能性につき述べる。