特集 血栓溶解療法の今
5.急性心筋梗塞に対する血栓溶解療法
安齋均
1
Hitoshi Anzai
1
1SUBARU健康保険組合太田記念病院 循環器内科 主任部長
pp.1413-1421
発行日 2017年9月30日
Published Date 2017/9/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201710055
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急性心筋梗塞に対する再灌流療法はprimary PCIが主流であり,その治療成績も良好で治療として成熟した域に達している。血栓溶解療法とのcombination治療であるfacilitated PCIも多数の多施設前向き比較試験が行われ,primary PCIを少なくとも凌駕する治療でないことが証明された。しかしながら実臨床の現場においては,様々な理由でprimary PCIまでのアクセスに時間がかかり,不必要な遅延が生じることもある。また,心房細動患者の急増に伴う塞栓性の心筋梗塞の予後は極めて不良で,再灌流治療の成績も不十分である。このような観点から血栓溶解療法の意義を考える必要がある。