特集 輸血による止血戦略
5.産科大量出血に対するフィブリノゲン製剤の投与効果
松永茂剛
1
Shigetaka Matsunaga
1
1埼玉医科大学総合医療センター 総合周産期母子医療センター 講師
pp.1141-1146
発行日 2017年7月30日
Published Date 2017/7/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201708059
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産科大量出血では,しばしば極端な低フィブリノゲン血症を伴う播種性血管内凝固症候群を発症する。凝固障害を増悪させないためには,早期から十分な凝固因子,特にフィブリノゲンの補充が必要である。速やかかつ十分なフィブリノゲンの補充のためには濃縮フィブリノゲン製剤が有効である可能性があり,濃縮フィブリノゲン製剤の有効性が最も顕著に認められる患者群は,高度な凝固障害を伴う重症症例においてである。特に重症な希釈性凝固障害か早期の消費性凝固障害において,新鮮凍結血漿(FFP)投与量への削減効果は非常に大きいと考えられる。