技術講座 血液
フィブリノゲン
奥村 伸生
1
,
寺澤 文子
1
,
廣田 雅子
2
,
藤原 祝子
2
1信州大学医学部保健学科検査技術科学専攻
2信州大学医学部附属病院臨床検査部
pp.707-715
発行日 2008年8月1日
Published Date 2008/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102143
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新しい知見
現在ほとんどの施設のフィブリノゲン(fibrinogen,Fbg)測定は,トロンビン時間(thrombin time,TT)法に基づく試薬と自動化装置を用いて実施されている.その測定値の異常低値の原因の一つとしてFbg異常症・欠損症があることが広く知られている.しかし,われわれの経験したヘテロ型患者のプロトロンビン時間(prothrombin time,PT)および活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time,APTT)測定値は,基準範囲内あるいは軽度延長という特徴を有している.この原因として,NaCl濃度をはじめとする測定条件の違いがフィブリン(fibrin,Fbn)重合反応に大きく影響することが明らかになった.さらに,ヘテロ型Fbg異常症・欠損症の頻度は従来の報告よりも高いことも明らかになったので,日常検査における注意深いデータの観察が必要である.
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