特集 輸血による止血戦略
4.止血不全・大量出血に対するトランサミンの投与意義
松﨑浩史
1
Koji Matsuzaki
1
1福岡県赤十字血液センター 所長
pp.1135-1140
発行日 2017年7月30日
Published Date 2017/7/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201708053
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抗線溶剤を効果的に使用するには,線溶の機序と抗線溶剤の特徴を知ることが重要である。トランサミン(TXA)は,わが国で開発された安価で副作用の少ない抗線溶剤で,その作用はプラスミノゲンとフィブリノゲンの結合を阻害することである。線溶は,血流が停滞する病態で,組織プラスミノゲンアクチベータが血管内皮から放出されることで始まるが,開心術では古くから予防的なTXA投与が行われてきた。近年,外傷,整形外科,分娩後異常出血など種々の病態でTXAの術中投与,早期投与が出血量削減と患者の予後改善に寄与することが示されている。