特集 輸血による止血戦略
2.大量出血時における止血不全の病態とその評価 -術中大量出血における止血モニタリングおよび止血目的の輸血治療について-
香取信之
1
Nobuyuki Katori
1
1慶應義塾大学医学部 麻酔学教室 専任講師
pp.1117-1126
発行日 2017年7月30日
Published Date 2017/7/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201708035
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術中大量出血は生命予後に大きく影響する合併症であり,迅速な診断と治療が必要となる。大量出血治療では輸液や赤血球製剤の投与を原因とする希釈性凝固障害が生じやすく,特にフィブリノゲンが早期から低下する。さらに進行するとトロンビン産生能の低下や線溶制御破綻も加わり,止血不全の病態は複雑化する。止血不全の病態評価と治療方針の決定にはpoint-of-care凝固モニターの使用が推奨され,特にTEGやROTEMの導入は予後を改善する可能性がある。