特集 輸血による止血戦略
3.心臓外科手術における止血治療 -凝固因子濃縮製剤の投与意義-
田中健一
1
,
武富太郎
2
Kenichi Tanaka
1
,
Taro Taketomi
2
1Professor Department of Anesthesiology, Cardiothoracic Anesthesia Division, University of Maryland
2野崎徳洲会病院 麻酔科 部長
pp.1127-1134
発行日 2017年7月30日
Published Date 2017/7/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201708045
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
心臓外科手術においては人工心肺の使用,輸液による血液希釈,低体温,抗血小板薬の服用など,多様な因子が交絡して止血に難渋する局面にしばしば出くわす。新鮮凍結血漿(FFP:fresh frozen plasma)および血小板濃厚液(platelet concentrate)がその治療の中心として経験的に使用されてきた。近年ではこれに凝固因子濃縮製剤が加わり,POCモニターとして全血の凝固粘稠度を測定しながら輸血治療を行うようになった。本稿ではFFP,プロトロンビン複合体製剤(PCC:prothrombin complex concentrate),およびフィブリノゲン濃縮製剤(fibrinogen concentrate)に関する近年の治験結果をふまえて,周術期の止血治療への適応について再考する。