徹底分析シリーズ 出血治療戦術—適応外の製剤も駆使して止血を図る
プロトロンビン複合体濃縮製剤の適応外投与—エビデンスから探る効果的な投与法
市川 順子
1
Junko ICHIKAWA
1
1東京女子医科大学東医療センター 麻酔科
pp.1166-1171
発行日 2020年11月1日
Published Date 2020/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201824
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プロトロンビン複合体濃縮製剤(PCC)の投与は,日本を含め多くの国の診療ガイドラインで血友病患者における第Ⅸ因子補充またはワルファリン効果の急性拮抗に推奨されている。日本でも2017年3月からワルファリンの緊急拮抗にケイセントラ®が利用可能となったが,それ以外の出血患者に保険適用はない。しかし,欧州ではPCCが止血困難症例にも用いられ,その有用性が報告されている。
そこで,本稿ではPCCの特徴,ワルファリンのPCC投与による緊急拮抗の概念を踏まえたうえで,希釈性凝固障害,外傷患者におけるPCC投与の基準や止血効果についてみていきたい。なお,産科出血におけるPCC投与に関する臨床研究はなく,現段階において投与は推奨されていない1)。
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