増刊号 尿検査法
II.各論
16.腎機能検査
(3)濃縮試験
齊藤 寿一
1
1自治医科大学内分泌代謝学
pp.174-175
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901110
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はじめに
濃縮試験は,下垂体後葉の抗利尿ホルモン(ADH)が水制限に反応して分泌され,分泌されたADHに腎集合尿細管が反応して尿が濃縮されるという正常の尿濃縮過程が起こるかどうかを検討する試験である(図1).このうち,腎のADH反応性はデスモプレシン(DDAVP)試験により,下垂体後葉からのADH分泌能とは切り離して検査することもできる.下垂体後葉からのADH分泌能を含む腎の濃縮力検査としては水制限試験が行われる.濃縮力検査は水制限試験単独で,あるいはデスモプレシン試験と組み合わせて行われる.
濃縮試験の対象となる疾患は,慢性腎疾患のほか多尿,低張尿を伴うものが多く,主として腎病変の評価あるいは下垂体後葉機能低下症などの多尿の鑑別に有効である.
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