特集 輸血による止血戦略
序 ~止血目的の輸血療法とは~
山本晃士
1
Koji Yamamoto
1
1埼玉医科大学総合医療センター 輸血細胞医療部 教授
pp.1103-1108
発行日 2017年7月30日
Published Date 2017/7/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201708021
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「止血のための輸血療法」とは,主に大量出血時の止血不全の要因である凝固障害を改善させるために行う輸血治療を意味する。特に,線溶亢進をともなっている高度な低フィブリノゲン血症は止血不全に直結するので,これを改善させることが止血にとってもっとも重要である。なぜならフィブリノゲンは血小板凝集に必須であり,しかも止血可能閾値がもっとも高い凝固因子だからである。その手段として新鮮凍結血漿では不十分であり,フィブリノゲンが濃縮されているクリオプレシピテート,もしくはフィブリノゲン製剤の投与が必要である。