特集 急性骨髄性白血病(AML) -新分類・分子病態・治療-
5.急性前骨髄球性白血病(APL)の治療戦略
木口亨
1
,
廻勇輔
2
Toru Kiguchi
1
,
Yusuke Meguri
2
1中国中央病院 血液内科 部長
2中国中央病院 血液内科 医長
pp.531-539
発行日 2017年3月30日
Published Date 2017/3/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201704053
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寛解導入は,標準リスク群についてはall-trans retinoic acid(ATRA)+亜ヒ酸(ATO)が最新の話題であり,高リスク群については分化症候群(differential syndrome:DS)が検討課題の1つである。地固め療法についてはATOの有用性が示されており,高リスク群にはアントラサイクリンやシタラビン(Ara-C)といった抗がん剤が現在も必要と思われる。維持療法はATRAを中心に,高リスク群にはタミバロテン(Am80)が投与される。しかし,ATRAとATO併用療法での維持療法の可否についてエビデンスはない。再発症例は,ATOを用いて分子学的寛解(CRm)を達成した場合,自家移植(Auto-SCT)が推奨される。 本邦では,未治療急性前骨髄球性白血病(APL)の寛解導入や地固め,維持療法に,ATOやgemtuzumab ozogamicin(GO),さらにAm80の使用について保険承認されていない(2017年2月現在)。ここで述べた海外の最新の治療が,早期に使用可能となることが望まれる。