小特集 骨髄線維症(MF) ~分子病態の解明から新規治療薬の開発まで~
序 ~骨髄線維症の現状と展望~
小松則夫
1
Norio Komatsu
1
1順天堂大学医学部 内科学血液学講座 主任教授
pp.99-103
発行日 2016年12月30日
Published Date 2016/12/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201701099
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Ph染色体陰性古典的骨髄増殖性腫瘍に分類される真性多血症,本態性血小板血症,原発性骨髄線維症は共通の遺伝子変異であるJAK2V617F(V617F変異)が2005年に発見されたのを契機に,ここ10年の間に相次いでJAK2exon12変異やMPL変異,CALR変異が発見され,分子病態の解明が進んだ。2016年にはこれらの遺伝子変異を組み込んだ新たなWHO分類が発表され,原発性骨髄線維症では前線維化期と線維化期にそれぞれ診断基準が設けられた。治療薬としてルキソリチニブが開発され,脾腫と生活の質(QOL)の改善を認め,生存期間の延長が期待されている。現在,モメロチニブやNS-018などのJAK2阻害薬,テロメレース阻害薬,ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬,ペグ化インターフェロン,ルキソリチニブと他の治療薬との併用などの臨床試験が進行中である。